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住宅の性能は誰が決めるの?(ハジメ論、第2回) [ハジメ論]



  できたばかりの邂逅舎の店舗用の邂逅の家が評価されていました。

         (断熱性★★★★耐震性★★★耐久性★★★)。



          マイホームナビ>茨城住宅情報  ← 評価されていたサイト



 決して悪い評価ではなかったのですが(むしろ好意的?)、オープン数日でまだ1軒も人が住んでいない邂逅舎の家、誰がどうやって評価したのか、「はあ??」という印象でしたー。


 社長は、評価基準の根拠をよく知っていたので最初はニコニコしながら、「うーん、会社が認知されるのは良いことだねぇー」と喜んでいましたが、

   断熱性★★★★ 「うんうん、店舗用だし、しょうがあんめぇ。」

   耐震性★★★   「ん・・・   ^^;」

   耐久性★★★   「んん[exclamation&question]・・・・・・・・・・ブチッ・・・[むかっ(怒り)]


 「やっぱ納得できねーなー[グッド(上向き矢印)] おらげの家はそんなにヤワじゃねぇべ[グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)]!!」

 「評価基準が国交省の役人の決めたモンだからしょうがあんめぇが、家も建てらんねぇヤツに評価されたくねぇ。」



 社長曰く、「俺が35年で150棟建てて、朽ち果てた家も建て替えた家も、一棟もねぇ。でかい地震も台風も雹もあったけど、今でもまったく、ビクともしてねぇ。これで★★★は納得がいかねぇ。家っちゃ工業製品かぇ?工場で作った部品をくっつけた家が★★★★★で、ベテランの大工が組んだ家がダイライトの性能だけ見られて★★★じゃぁ・・・・・・。」


   ↑ 社長である大工さん、ふだんは頑固でも怖くもなく、とても親しみやすい、「はっちんち」の子どもたちもとーってもなついている方なんですがー。




 この後、いつものように、勉強会が始まりました。 今日は木組みについてです。


 お勉強の成果。

 法隆寺を建てたのは誰ですか?

 「聖徳太子!!」

 「ブッ、ブー、大工さんです。」

 そうです。自分たちの住む夢の家(店)を創るのは施主の皆さん、そしてそれを建てるのは大工さんです。

 邂逅舎の家を作る大工さんはベテラン揃いです。一番若いのがサバイバー優勝経験者のG大工さんで私と同い年です。(何となく、アプスの講師陣の年齢層とかぶります。)若い人は、格好いい設計業務を好む傾向があるので匠の大工さんはどんどん減っているみたいです。最近の社長の夢は、邂逅舎を「若い人がここで一緒に働きたいと思ってくれる会社にする」ことらしいです。

 在来工法は歴史があり、奥が深いので習得に時間が掛かります。特に木組みの技術は日本の建築が世界に誇れる部分だと思います。以前にNHKのプロジェクトX「リヒテルが愛した執念のピアノ」で見たことがありますが、ヤマハのピアノが世界で認められるきっかけになったのが、木を接合するときに使った伝統的な木組みの技術である「蟻組」だったそうです。以下、邂逅舎で使われている木組みの一部を紹介します。



DSC03687.JPGDSC03688.JPG

 写真の部分は、プレカットの鎌継ぎです。さすがに手刻みは工賃に跳ね返るので事前に自社工場でカットします。梁の部分は一本一本にヘンな応力が掛からないよう継ぐ部分もよく考えて設計します。



DSC03689.JPG

 梁上の振れ止め、頭継ぎの部分は、大栓で止めます。大栓は樫などの堅い木で作らなければ強度を保つことができません。

 これで外壁にダイライトパネルを張り、さらに粘りのある13.5㎜厚の杉板を釘打ちでしっかり組み付けてあるので相当な外的応力に対応できるはずです。しかも床は断熱材より上の部分で28㎜の合板と20㎜の無垢材を使用、合わせて48㎜厚を確保してます。

「平屋でもこれだけやってます。」

(余談ですが、アプスの「夕映え荘」は2階建てです。故にグレードが上の12㎜のダイライトを張ってります。それだけではなく、筋交いも入れるという念の入りようです。生徒には、「この家が壊れたら他の家は建ってないぜ!!」などと言ってます。安心して通わせてください。)



DSC03690.JPG

  これは薪棚です。上を覗くと・・・。



DSC03691.JPGDSC03692.JPG

  左手前に蟻掛け、右手前にほぞ、中央の梁部分には、大栓が使われています。このようにきっちり木組みができる大工さんの事を「あの大工はかたい仕事をする」などど言います。



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  きっちりほぞで組んでありますが金属でも補強します。


  繰り返しますが、↑ は薪棚、単なる薪置き場、です(後にこちらも商品になります)。



DSC03694.JPG

  育ちの家の梁の部分です。T字の部分は蟻掛けで組み、羽子板金物を使って補強します。



DSC03695.JPG



DSC03696.JPGDSC03697.JPG

 上と左の写真は、間柱のほぞの部分です。右は、育ちの家の大黒柱周辺の複雑に組んである部分を撮影しました。梁は込み栓という円柱形の堅い木を使った組み方で接合します。このほかにも随所で木組みの技が使われ、住宅の強度を上げています。さらに、今回紹介しているすべての邂逅舎の家は、瓦屋根を乗せる十分な強度を確保していますが、さらに屋根を板金加工にしているため家の上方が非常に軽量で横方向の応力に対して強いはずです。

 私は、地質コンサルタント時代に、相当な量の地震被害の調査(日本海中部地震~、国や学会で発表するための仕事として)を経験しているので、被害地震の怖さをよく知っています。今回も「邂逅の家」設計時に、社長やH一級建築士に、「できるだけ基本に忠実で単純、かつ地震や強風による大きな揺れでも倒壊に至らない、しかも絶対1,000万円以内で提供できるという家を作るという目標を持ってください。」という無理難題をぶっつけましたが、その結果、できたのが邂逅舎の家なのです。

 スゴイでしょ~[exclamation×2]
  うんうん、その無理難題を実現させちゃった社長がネ~[黒ハート]    イテッ[あせあせ(飛び散る汗)]
  オレもだろ、という天の声が・・・。




 しゃちょー、ど~です、少しは気が晴れたかな? 

 注) 施工は県央エリアとありましたが、邂逅舎の家・薪ストーブは半径100km以内程度ならOKです!!    




 さて、話は変わります。

DSC03698.JPG

  断熱にとって最も重要なものは開口部です。特に、窓の面積をできるだけ小さくしたり、窓部分の断熱を高くしたりすると非常に効果的です。「育ちの家」では窓に結露が起こらないように、標準仕様をすべてトステムのシンフォニーといたしました(アプスの夕映え荘と同じサッシ)です。また、壁内には発泡ブローを吹き付け、気密と断熱の両面をクリアします。展示の「育ちの家」の屋根断熱はちょっと間に合いませんでしたが、販売時には屋根にも施工する予定となっています。




DSC03699.JPG

  柱の文字がいつも逆さになっています。こんな狭いところにもダイライトパネルを付けます。

  薪ストーブ付きの建物の値段
   
  写真に出ている  育ちの家は998万円、邂逅の家(店舗仕様)は888万円です。




DSC03700.JPG

  大谷石のピザ焼き窯です。独りで片づけられるように小さなパーツに分かれて存在します。定価147,000円です。窯の制作者や試作品については、また後日~。





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コメント 4

toco

こんにちは。
マイホームナビの所です。
私の説明不足で誤解を招いてしまい、申し訳ありません。
茨城住宅@ナビの表は、住宅性能表示の基準で「客観的」に掲載しております。
詳しくは、ブログに関連の記事を書かせていただきましたのでご覧いただければと思います。
http://ameblo.jp/tokoros/entry-10152563098.html
私の思いは、「お客様とよい住宅会社様の接点」をさせていただくことです。
これからも、ご指導・ご鞭撻よろしくお願いいたします。







by toco (2008-10-18 10:39) 

toco

はっちん様

ご丁寧な返信ありがとうございました。

すごい経歴をお持ちなのですね。
これから何かしらご相談をすることがあるかもしれません。

確かに、性能表示制度を始め国の政策はあきらかに大手メーカー側に有利なものばかりです。
その中で、地元密着で真摯に仕事に取り組んでいる方を一般の方に知っていただく手助けをすることが私の使命であると思っております。

国が決めた“ものさし”ではなく、新たな“ものさし”を創ることが必要なのでしょうね。



by toco (2008-10-19 08:57) 

はっちん

tocoさん こんばんは。
社長が怒っているのは住宅性能基準を作った人たちに対してで、評価されたことに対してではありませんのでご心配なく。むしろ、マイホームナビに出たことについては非常に喜んでいます。

私も前職では、地盤・地質関係や建築関係の学会などで大学教授、官公庁の研究者や大手ゼネコンの研究者と一緒に仕事をしていたので、各種の評価基準がどのようにしてできたかはよく知っています。また、JIS基準の改定も手伝ったこともあるのでいろいろなしがらみが正当な評価をさせない原因になっていることも知っています。

人の縁とは不思議なもので、当時、若手の技術者だった私が一緒に仕事をしていた人たちはどういう訳か出世する人が多く、現在では、現役を退いて勲章をもらった人や大学教授、研究所の所長やゼネコンの役員になっている人が多いです。
このような人々が中心になって様々な決まりごとを作っていきます。素晴らしく優秀な人たちですが、会社のオーナーではありませんので、ムリに自分の信念を貫こうとすると被害を被ります。故に保身に走る人が多いと思っています。

私は、コンサルタント時代に報告書を書くとき、例え疑問に思ったことでも、各種指示書や何々基準等、国や学会で認められた基準に沿ってさえいれば何かあっても責任を取らなくて済むから従いなさいと教わってきました。しかし、現在では、自分自身がする仕事は信念を持って行い、自分のした仕事、又は、自分がさせたすべての仕事は、いかなる事があっても自分で責任を取らなければならない、ということが、独立し、エンドユーザーに接する経営者となったとき初めてわかりました。

tocoさんの仕事は、どう見てもコンサルタントです。
マイホームナビで、通常の住宅性能基準に併記して、あなた自身が建築業者に対するしがらみを断ち切って、自分の顧客のためだけに考えた評価基準を記載することができたら素晴らしいと思います。これこそがマジメにやっている工務店や建築会社を正当に評価する基準です。というようなものを作ってみたら楽しいと思います。これから邂逅舎でもいろいろな面白い試みをする予定です。
本質から乖離している評価や性能表示、各種保険や保証とくっついて、天下りの温床となっているものから脱却し、一般に正しいと認知されている間違った知識を修正することができたら建設業全体の利益となると思いませんか?


  株式会社 邂逅舎 取締役専務 川崎 一





by はっちん (2008-10-19 12:17) 

はっちん

↑ この返信は「はっちんのダンナ」が書いたものでしたので、ダンナの名前
を入れて修正したら、またtocoさんからお返事をいただいてたみたいでー、
すみません、ありがとうございます。
建築中の別棟の現場も実際に見ていただけたらいーなー、と申して
おりました。お立ち寄りになる機会がございましたら、ぜひお店に遊びに
いらしてください。
薪ストーブでつくる焼き芋を用意してお待ちしています~。

※ ダンナの「建築関連法令嫌い症」は、薪ストーブ設置時に内装制限が
あって、壁や天井をフツーの板張りにすることができないことが発端に
なっているそうなんです。乱暴な表現で気を悪くされていたらごめんなさい、
いっつもどこでも誰に対してもこんな調子なんです…。 ^^;


by はっちん (2008-10-19 12:32) 

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